ビットシフト
act6-B
ダイバーの素養
連れて行かれたのは、同じ通りにある小さなバーだった。
といってもまだ早い時間であるからか、薄暗い店内に客はまばらだ。
適当に座れと言われ、細長いカウンターの奥に、所在なさげに座る。こういう店に来たのは初めてだった。
「お前、嫌いなもの無いな」
あるなんて言えない訊ね方だ。少年は憮然としてハロルドを見上げたが、奢ってやると言われている手前もあり、文句は言えなかった。
「ここのカレーは美味いんだよ」
飯と言いつつ酒を飲む気かと思ったが、店主と暫く和やかに話をしていたハロルドが、何故かカレーライス入りの皿を2枚持ってやって来る。
「……セルフサービス?」
「俺はな」
スパイスの香りが心地よく空腹を刺激する。
常連、もしくは知り合いの店だったりするのだろう。ハロルドの持ってきたカレーライスは確かにとても美味そうなものだったが、メニューブックのどこにも存在しなかった。
ハロルドは少年のとなりにドカリと腰を下ろし、骨ばった手でスプーンを掴むと、黙って食べ始める。ウィリアムは横目でチラリと男の様子見て、それから、同じようにカレーライスを食べた。
正直、下町の怪しげなバーなんてと身構えていたのだけれど、男の言葉通り、そこらのレストランで食べるよりもずっと美味しかった。
「あの……」
半分くらい食べ終えて、ウィリアムがおずおずと口を開く。
「何だ?」
「サーチ……ライトの、ことですけど」
その名を出すとハロルドはちょっと食べる手を止めてウィリアムの方を見た。目が笑っているのが気に入らないけれど、聞かないわけにはいかない。
「どこに居るんですか? 僕……話せますか?」
「話してどうする」
「……謝りたいんです。その、困らせるようなこと言ったし……」
困ったように呟いた少年に、しかし男はそれ以上からかうようなことは言わなかった。
「あいつはそんなこと、気にしちゃいないぜ?」
「そ……うかも、しれませんけど」
「お前の気が済まないって?」
「はい」
「はぁー……」
ハロルドはやたらと深い溜息をつく。ウィリアムはムッとして睨んだ。
「悪いですか?」
「悪くはねぇよ。ただ、子供ってのは怖いなぁと……」
「何が……」
「AIの学習相手には、大人より子供の方がいいんだよ。相手を人間扱いするからな。それはわかってるつもりだったんだが……いやぁ、理屈じゃねぇんだなぁ。ガキってのは……」
「……子供だったことが無かったみたいな言い草ですね」
「あはは、まぁ、怒るなよ。俺はある意味感心してるんだよ」
「とてもそんな風には見えません」
「知ってるか、ウィル。マーキュリーAIっていうのは、人を超える存在になり得るとまで言われた、1世紀前の傑作、天才にしか作れねぇ怪物だ。まぁ、俺が作ったのはせいぜい出来の悪いレプリカってとこだけどな」
自信家らしく無い謙虚な物言いだった。
「ただ、レプリカっつても、コア部分にはクライトン博士が作った学習システムを組み込んであるからな。サーチライトは人を知ろうとするし、知れば知るほどそれに近づいていく」
「お前と会って急に人間っぽいことを言うようになりやがって、面白かったからそのままにしてたんだが……」
「俺は正直、マーキュリータイプのポテンシャルのでかさが怖くなった」
言いながら空になった皿の米粒を几帳面に掬いとって、ハロルドはカウンターの向こうの店主にビールを頼んだ。
まもなく渡されたジョッキに口をつけて、満足そうに息をつく。
「わかんねえって顔だな」
言いながら、ビールと一緒に運ばれてきたアイスティーを、少年の前にトンと置いた。
「だって、分かりません」
「まあいい。サーチライトなら、俺は何もしてないからな。お前が呼べば出てくんだろ。話くらいどこでも出来る」
あっさり言われて、ウィリアムは驚いた。
「あー、あと、もう分かったと思うが、ジョージのサポート無しに潜るのは、命綱無しの綱渡りと同じようなもんだ。俺だっていつでもサルベージ出来るわけじゃねえ。やめとけよ」
「あ……」
昨日の出来事と、男からのメールの内容を思い出す。
何事も無かったのはただの幸運だと思っていたのだが、もしかすると、いや、おそらく。自分はあの時、この男に助けられたのだ。
「えと……」
命の恩人なら、礼くらい言うべきだと思ったけれど、何となく今更どう言えばいいのかが分からない。
ハロルドは、少年を特に気にする風もなくジョッキを傾けている。ウィリアムは眼鏡の奥の黒い瞳を困ったように揺らして、冷たいアール・グレイを改めて一口飲んだ。
「あ……の……」
呼吸を置いて──
ありがとうを伝えるつもりの唇は、全く違う言葉を紡いでいた。
月曜。休み時間になっても、教室には妙にピリピリとした緊張感が漂っている。
数日後には期末試験が始まるのだ。一定以上の成績を残せないと容赦なく落第となるため、どの者も必死である。
「ウィルー……」
ノートを持ったエリカがぐったりした様子でやって来て、前の席に勝手に座り、背もたれ側に振り返って恨めしそうな声をあげた。
「眠そうだね」
「寝てないもの……」
皮肉のつもりで言ったのに、エリカはちっとも反応せず、ぐったりとウィリアムの机に突っ伏して半分溶けている。ウィリアムは彼女の手からヒョイとノートを乗りあげて、パラパラとめくってみた。
「化学?」
「そー……」
「あ……」
そこには、エリカらしい可愛らしい文字で書かれた化学反応式がズラリ。細かく説明も書き込まれ──どうやら、この教科が苦手な彼女なりに、随分真面目に勉強したらしい。
「頑張ったね。これなら試験も大丈夫なんじゃ……」
「そんなわけ無いわぁ……」
完成したノートをわざわざ見せに来て、褒めて欲しいのかと思ったのに、エリカは人の机を占領したまま足をじたばたさせて唸った。
ウィリアムは改めて、整然と埋められたノートに目を戻す。
「君、もしかしてここに書いてある内容、まだ頭に入ってないとか?」
「……意外そうに言わないでくれる」
今度は皮肉のつもりは無かったのだが、エリカはクマの酷い目を釣り上げて睨んできた。
「えー……と」
手書きのノートまで制作しておいて、内容を理解できていないというのは、ウィリアムの感覚からすると、なんとも奇妙だ。
頭に入れるためにノートを書くんじゃないのか、と思うけれど、それを今口にするのは避けておこう。
「……じゃあさ、わからないところは次の休み時間に見てあげるから、とりあえずあと十分寝てなよ」
「えー……」
「いいから」
エリカはそれ以上文句は言わず、大人しくなったと思った時にはもうスヤスヤと眠っていた。
ウィリアムはちょっと笑って、邪魔なクラスメートの頭の上で、彼女作のきれいなノートを、次の授業の開始チャイムが鳴るまで読んでいた。
本当は、学校が終わったら今日もガイアポリスへ足を伸ばしたかったのだが、結局、放課後もエリカに付き合うことになった。
場所を教室から生徒会室に移して、化学の講義を続ける。ホワイトボードをウィリアムの流麗な文字が埋め尽くして、エリカが何度もそれを見上げながら演習問題を解いていく。
「うーん、やっぱり一人でノート作るより、あんたに教えてもらった方がはかどるわぁ」
少し寝たおかげかすっかり元気を取り戻したエリカが、勝手なことを言って満足げに問題集を眺めている。
「エリカはノートをまとめて知識を蓄えるより、ひたすら演習をこなすほうが身になるんだから。僕がどうこうっていうより、最初からそういう勉強法にすればいいんだよ」
「だって、わからないとすぐ嫌になるんだもの」
「そういうのは、まとめておいて次の日先生に聞いたりとかするんだよ」
「面倒くさい」
「……君にそういう勤勉さを求めるのは空しいってことを忘れてたよ」
呆れた眼差しを向けるウィリアムに、エリカは上機嫌で笑顔を見せた。その顔を見て、ふと先日のことを思い出す。
「そういえば、この間のお礼を言ってなかった」
「え?」
「ありがとう。美味しかったよ」
エリカは一瞬不思議そうに目を丸くして、それからパッと恥ずかしそうに頬を高調させて目をそらす。
「べっ、別に、あんたの分は私にとっては、おまけみたいなもんだから」
「わかってるよ」
「……じゃあ、別にお礼なんか言わないでいいわよ」
ぎこちない反応の理由はわからないが、怒っているわけではなさそうだ。
「でも、先輩にはちゃんとお礼言ったんでしょうね」
「え、あ、うん。一緒に食べたから、その時に」
「そう……ん? ううん、違うわ。先輩にはお礼言うだけなんてダメよ!」
何を思いついたのか、エリカはパッと表情を変えて言う。
「えっ?」
「何か具体的かつ、心のこもったお返しをなさい!」
少年のことは爪の先ほども考えに含まれていないところが、まことにエリカらしい。ウィリアムは、反論する気も失せて明後日の方向を見つめて苦笑して言った。
「君って屈折してるよね」
「したくてしてるわけじゃないわよ」
「……そりゃそうか」
「はぁああ。ほんっとにもう、信じらんないわ」
それ以上は詳しく説明しようとはせず、少女はムッとした顔のまま問題集のページを捲った。
エリカの勉強に付き合って校舎を出る頃には、辺りはすっかり赤に包まれていた。ひやりとしたそよ風が心地よい、秋の夕暮れである。
「やぁ、1年コンビっ」
特に会話も無く歩いていたウィリアムとエリカを、背後から聞き慣れた明るい声が呼び止める。振り返るまでもなく、リュシアンである。
「今帰り?」
人懐っこいニコニコ顔で二人の間に割って入る。
「先輩は部活?」
「そー。もうヘトヘト~ 君たちは?」
「テスト勉強。ねっ」
同意を求めるエリカの視線に、黙って歩いていたウィリアムは、ちょっとため息をついて言った。
「僕は勉強はしてないよ。君の講師をしてただけ」
「あら、教えるのってすごく勉強になるのよ」
「それはそうだけど……」
言いかけるウィリアムの言葉を遮るように、リュシアンが大きな手のひらで少年の細い肩を掴む。
「エリカちゃん、だめだよ~、あんまりウィルにお願いばかりしてると、嫌われちゃうよ」
「えーっ……」
甘ったるい声で予想外のセリフを吐いたリュシアンに、エリカはいったん不満そうな声をあげたが、すぐに微妙に不安な色が混じり、困ったようにウィリアムを見た。
「め……迷惑だったとか、言う?」
意地悪な返事がいくつか浮かんだが、心なしかエリカがしおらしいので引っ込める。
「別に」
「あっ、優しいなぁ。偉いなぁ」
リュシアンの茶化すような言葉は、しかしいつも妙に会話に馴染んだ。
「ねえねえ、この後さあ、どっか寄って何か食ってこうよ」
「私甘いものがいいな!」
「賛成~っ。ウィルは?」
「……遠慮しておきます。僕、まだ少し学校に用があるので」
「あれ、そうだったの?」
エリカが何となく済まなさそうな調子で言った。
「うん」
成り行きで一緒に校舎を出てはきたけれど、この後SiNEルームへ寄ろうと思っていたのだ。
「そっか、そーゆーことなら、仕方ないね。了・解!」
リュシアンはこの間のように強引に誘ってくるかと思ったけれど、今日はあっさりと引き下がる。また明日と言い合って、二人とはそこで別れることにした。
「じゃあエリカちゃん、どこいこっか」
「サナエ先輩も呼びましょうよ」
「ええっ!?」
「今部活終わったところですよね、私、電話してみますっ」
「ちょ、ちょっと、勘弁……」
「だめですー」
「エリカちゃん~」
賑やかに去っていく二人の背中を見送る。フッと戻ってきた孤独感に奇妙な安堵を覚えつつ、少年は身を翻して、西館の方へと歩いていった。
ポ・・
フ・・
暗闇の中、男の指先に乗った小さな砂粒ほどの光が、彼の手を離れると同時に、恐ろしいスピードで光子の渦にのまれていく。
ハロルドは、一瞬でそれが見えなくなっていくのを確認すると、ヒョイと小さなウインドウを取り出して、難しい顔でログらしい文字列が流れる様子を睨んだ。
「…………よし」
十秒とかからないうちに、小さく呟いて、ニッと笑う。
《……成功か?》
どことなく緊張したジョージの声が響いた。
1ビット・ダイビングにおいての音声通信は、その空間に音が響いているわけではなく、通信相手であるハロルドの聴覚に直接メッセージが伝わっているものだ。
つまり、声はどこから聞こえてくるものとも言えないのであるが、ハロルドは何となく、ぼんやりと光る水面を仰いで言った。
「ああ。どうやらサーチライトの奴、見事当たりを引いてきたらしい。コレで本番もいけそうだ」
満足げに言って、手にしていたウインドウを放り投げる。
テーブルトップコンピュータと同じモーション入力で動いているらしい青白いホログラフィ・ウインドウは、フワッと宙に投げ出されると、落ちながら無数の光に分解されて消えていく。
《そのサーチライトじゃが、ウィリアムがさっき呼び出したみたいじゃぞ》
ジョージはついでのように言ったが、ハロルドは笑いを引っ込める。
「……そう、か」
《お前さん、あの子この先どうするつもりなんじゃ?》
ハロルドは短いため息をついた。
「わかんねぇよ」
《いい加減じゃのう》
「知らなかったか?」
《いーや》
「だったら……」
言いかけた言葉を遮って、ジョージが少し心配そうに続けた。
《だいたい、あの年頃は正義感も強かろう。あまり深入りさせるのはお互いのためにならん気がするが……》
「わーってる! ああもう、うるさい爺さんだな。禿げるぞ?」
《何言うとる、これ以上何を恐れることがあるかい》
「…………」
ハロルドは閉口して、乱暴なモーションで一方的に通信を切った。
「ったく、どいつもこいつも……」
1ビット・ダイビングは、今はまだ開発者であるハロルドのみが扱える特異な技術である。数世紀分のデータをその内に抱える情報の海に、彼以外の人は無く、その苛立ち混じりの呟きを聞くものも当然居なかった。
「お待ちしていました、ウィル」
初めて会った時と同じ、日だまりの古風な図書室で、変わらぬ優しい声が、少年を呼んだ。
「サーチ、あの……」
困ったように口ごもるウィリアムの言葉を、サーチライトはニコニコ顔で待っている。
風もないのにフワフワと揺れ動く光の色の髪が、彼女と少年の世界の厳然とした隔たりについて教えているようだった。
「……この間、君を責めるようなことを言ってしまって、ごめん」
夢でも伝えた同じ言葉を、改めて口にする。
サーチは少し驚いたようにまばたきをして、それから何度か思案するように首を傾げて、そして深く息を吐くように落ち着いた声で言った。
「マスターに、会いましたね」
「え……」
ウィリアムは一瞬驚いたけれど、すぐに複雑そうに眉を寄せて視線を落とした。サーチライトがそのことを知っていることに、不思議は無いのだ。
「……あいつから聞いた?」
「はい」
少年は黙り込んだ。サーチライトを作ったのはハロルドだ。分かっているつもりでも、自分が彼女を独占できるわけじゃないことを考えると嫉妬を感じた。
こんな感情を抱くなんて、自分でもどうかしてると思うけれど……。
気持ちを落ち着けようと読みかけの本を引っ張りだして腰掛ける。どこまで読んだかなと思いながらページを捲って、何だかここで本を読むことが恐ろしく久しぶりのような感覚に陥る。
以前は毎日のようにここに本を読みに来ていたのに、彼女と出会ってから、そういえば一度もこんなふうに本を開くことが無かったのだ。
「……今までは、こうやってSiNEで本を読めるだけで、すごいと思ってたはずなんだけどなぁ……」
ポツリと呟いた言葉を独り言だと判断したのか、すぐ傍に佇んでいるサーチライトは何も言わない。
それが気になってチラリと少女を覗きみたら、明後日の方向を見ていたサーチライトは、すぐに少年の方を向いて微笑んだ。
「何か、探したいものがありますか?」
「君、僕が今何を見ているかとか、分かるの?」
「ウィルは今サーチを見ています」
「そうだけど、その前」
「ウィルの視線が、『プログラミング言語の歴史』から、サーチに移動したことですか?」
「やっぱり見えてるんだ」
「見えているというのは正確ではありません。SiNEルーム内でのウィルの行動は、全てデータ化されてサーチに伝わります」
「ほら、やっぱり見えているんじゃないか」
「見えて……」
呟いて目を丸くする少女の表情を見ていると、やたらと暖かい気持ちが滲んでくる。ハッとするほど人間らしい時もあれば、当たり前のようにこんな反応もする。
「ふふ、もう、わからなくなっちゃうよ」
「何がでしょうか?」
「君のこと」
「私の?」
「そう」
ウィリアムははにかんだように笑って続けた。
「あと、君が何者なのかってこと、忘れそうになる」
「まぁ。ウィルは知っていることを忘れたり、わからなくなったりするのね、おかしいわ」
言って、サーチライトはくすくす笑う。
「そりゃあそうさ、サーチ。僕には……いや、誰にも、本当の君のことなんて、わからないんだから」
「本当の、わたし……?」
「そうだよ。それに、君にだって本当の僕のことは分からない」
「本当の、あなた……」
頷いてみせると、少女は地球(ほし)のような瞳にキラキラした光を宿してウィリアムを見つめ返してくる。
この光を、少年はよく知っている。
興味だ。
もっと知りたい。君のことを、世界のことを。
この、何ら切迫感の無い感情が僕を支配する理由は、たぶん、僕を取り巻く世界の全てに、まさに差し迫ったものが何もないからだろう。そのことを、ウィリアムは唐突に自覚した。
今よりずっと幼い頃から、自分はただそれだけに夢中になってきた気がする。限りない興味と、知ることの快楽。今までは、そこに理由なんて無いと思っていた。
「僕はもっと知りたいな、君のこと」
優しい家族に、心安い仲間も居る。良くしてくれる先輩も。恵まれた環境に不満は無い。けれど──
「君は知りたい? 僕のこと」
平和な日常と、曖昧に約束された将来。そこには全てがあって、そして、何ひとつ無いのだ。
「もちろんです。サーチは《あなた》を知るために存在します」
サーチライトはキッパリと言う。
ハロルドが怖いと言っていた、サーチライトのコアシステム【マーキュリーAI】は、無限に自己学習と自己判断を行うという。人を知り、人を越えると称された人類史上の傑作。
ウィリアムにとっては、突然、魔法のように現れた、未知の世界への扉そのもの。
「……ねぇ、サーチ、だったらさ」
きっと、彼女に新しい世界を見せてもらうには、気持ちをぶつけたほうがいい。思うとなしにそう判断した少年は、本を抱えていた手を伸ばして、彼女の白い手を掴んだ。
「あいつじゃなくて、僕だけのものになってよ」
「あ……──」
少年の我侭に、少女の大きな瞳は、見開かれたままキラリと一度、光った。
To be continued.
読んでくれてありがとう!
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Studio F# Twitter
 
 



ウィリアム・レリック

本編主人公。
ネオポリスアカデミー付属ハイスクール1年生。
優等生で生徒会の書記も務めるが、同学年にはあまり友人は居ない。
コンピュータ・マニアで、学校のSiNEルームに入り浸っている。




サーチライト

ウィリアムが学校のSiNEルームで出会った謎の少女。
自ら「Ω‐NET自動巡回システム対話インターフェースユニット、コードネーム『サーチライト』」と名乗る。
ネットから情報を集めるクローラープログラムの一種であるらしい。




エリカ・グレイン

ネオポリスアカデミー付属ハイスクール1年生。
ウィリアムのクラスメートであり、生徒会で会計を務める。
生徒会長に心酔しているらしい。




サナエ・A・ノースランド

ネオポリスアカデミー付属ハイスクール2年生。
生徒会長を務める。
知的な才女タイプだが、ウィリアムのことを、入学当時から妙に気に入っている。




リュシアン・エンジェル

ネオポリスアカデミー付属ハイスクール2年生。
生徒会副会長を務める。
人当たりのよいプレイボーイで女の子が大好きだが、サナエのことは恐れている。

ウィル サーチ エリカ サナエ リュシアン
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本作品は、毎週連載形式のオンライン小説です。
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