ビットシフト
act4-A
ワンビット・ダイビング(後編)
帰宅後、いそいそと食事をすませて部屋に戻り、いつものようにコンピュータを立ち上げる。
エルズの店長にもらったデータを早く開いてみたかった。
(あ、やっぱりビジュアルヒストリーシリーズ……)
学生用の映像歴史教材だと聞いていたが、データを見ると、ウィリアムの知っているシリーズのようだ。
(すごい。西暦代のやつだ)
それは、有名な歴史ドキュメンタリーの映像教材だ。
とても長い歴史があり、かつては1000巻以上が刊行され、Ω‐NET経由であちこちの教育施設で利用されていた。
しかしネットの閉鎖を受け、今閲覧できるのはごく一部の、新しい年代の教材だけだ。学校のSiNEルームからも、確か50巻分くらいは見ることができたと思う。
もらったデータは西暦代の大事件を取り上げたものすごく古い巻のひとつで、どこからこんなものを手に入れることができたのか不思議な、非常にレアな代物であった。
少年は特別歴史マニア、というわけではないけれど、こういう記録映像の類は文字による記録を読むよりずっと知的好奇心を刺激されるから、とても気に入っていたのだ。へたな教師の授業を受けるより、ずっと面白い。
(せっかくならこれは、学校のSiNEルームで再生した方が楽しそうだなぁ)
家のテーブルトップ・コンピュータでもデータ再生はできるけれど、学校のSiNEルームで見たほうが大迫力できっと面白い。
データに問題が無さそうなのは分かったので、これを見るのは明日にしようと思って、ふと、画面の隅に見慣れないアイコンが浮かんでいるのに気付いた。
(これ、なんだ?)
妙に可愛らしいマスコットが描かれたアイコンで、ゲームか何かだろうか。
インストールした覚えが無いものだったので、ウィリアムは眉を潜めて手を伸ばす。
まもなく、ラベルに書かれた《SearchLightt》の文字に、思わずあっと声をあげた。
「サーチだって!?」
慌てて開いてみると、何も表示されない……──と思った刹那、ウインドウの向こう側に彼女がひょこっと顔を出した。
「うわっ!!」
『お待ちしていました、ウィル』
スピーカーから、知っている声が流れる。確かにサーチライトだ。
「サーチ……! 君、どうして、ここに……」
驚くウィリアムを覗きこむように、サーチは首をかしげる。
『Ω‐NETに接続されていれば、どこからでもサーチの利用は可能です』
何事も無かったかのように、少女は言った。もう二度と会えないのではないかとまで思ったのに。
「……僕がまだ、君の使用者だってこと?」
『イエス』
「じゃあ、これからも呼べば出てきてくれるの?」
『イエス。オフコース』
SiNEルームで見る《実物大の》彼女と、小さな画面の中のサーチとでは、サイズが随分違うけれど、二次元平面上で見る彼女の笑顔も、困ったことに可憐で可愛い。
ガイアポリスには大きなジャンクショップが何軒かある。とてもネオポリスでは買えないような古いデータや機械が手に入るのだ(中には動かないような本当のジャンク品も相当多いが)。
ウィリアムはウインドウを見つめてしばらく悩んでいたが、今夜のところは彼女に探し物を頼むのはやめておいた。
家のコンピュータは容量が小さいから、ちょっと命令を間違えると大変なことになりそうだ。
調べたかったことについては、また学校のSiNEルームで調べることにしよう。
代わりに、読みかけだった本のデータを引っ張りだして読み始める。
新しく開いたホログラフィウインドウが、ごろんと仰向けになったウィリアムのちょうど目線の先にフワリと浮かぶ。
少年は今、昔雑誌で見かけて気になっていた、五十年ほど昔のΩ‐NET関連の技術書を読んでいた。
ウインドウの向こうの少女は、ウィリアムが読書をするのを黙ってジッと眺めていた。
サーチは構わないときは本当に大人しくしていてくれるので、一緒に居るのがとても楽だ。
女の子の姿をしてはいても、コンピュータ・ソフトなのだから、当たり前なのかもしれないけれど……
昔の本は、技術レベルが非常に高く、少年には読みこなせないものの方が多かった。最近のものであればかなり専門的なものでも大抵理解することができるのに。
「……あーあ、僕もあと百年くらい早く生まれていればなあ」
呟く言葉に、少女が反応する。
『百年ですか?』
「そう」
『どうしてですか?』
「今よりずっと技術が進んでいたから」
サーチは言葉の意味を理解したのかしていないのか、読みにくい表情で黙り込んで、
『でも、百十六歳のウィルは、サーチには会えませんね』
と、なんだかものすごく勘違いしてしまいそうな台詞を口にした。
SiNEルームでも、ホログラフィウインドウの中に居てさえ、サーチは、どこからどう見ても同年代の女の子で、しかもものすごく可愛くて素直だ。
感覚が繋がれているSiNEの中では手をつなぐと暖かみだって感じるし、光沢のある髪は彼女が動くのに合わせて揺れたりほつれたりして、これが作り物だなんてとても思えないくらいだとしみじみ思う。
──けれど、あくまで彼女の容姿は擬似的に再現されたインターフェイスだ。
誰が何のために、彼女をハイスクールの生徒と同じ姿に設計したのかは知らないけれど、エリカに言われるまでもなく、サーチエンジン相手にドキドキしてしまうなんて、ちょっとどうかしてる。
それは、分かっているんだけれど────
カラン・・
「ハロルド、お前さんまたこんなところで晩飯食ってるのか」
夜半過ぎ、バーに入ってきた初老の男が、薄暗い一番奥の席で、酒を片手に、何故かもそもそとカレーを食べる年下の相棒を見つけ、呆れ顔で隣に座った。
「仕方ねぇだろ、起きたら食い物屋がどこも閉まってたんだから」
ハロルドと呼ばれた男は、悪びれる様子もなく言う。長身痩躯、クセの強い茶色の髪をした、目付きの悪い男だ。
「それに、ここの賄いカレーは美味いんだ」
二人とも常連らしい。店主らしい男がビール片手に近寄ってきて、初老の男の方に渡し、一言二言言葉を交わして、笑う。
「やめたバーテンにいつまでも飯を食わせないといけないなんて、この店も災難じゃなぁ」
「うっせぇなジョージ、金は払ってるよ」
そういう問題じゃないだろうと、冗談混じりに小言を吐きながら、男は、ゴクゴクとジョッキを半分ほど空ける。
ハロルドは、ジョージから見れば、息子ほどに年の離れた友人だ。おもむろに口を開く。
「ああ、今はそんなことで探してたんじゃなかったんじゃ。なぁ、例のクローラー、また放流したって?」
「ああ。《首輪》はつけといたからいつでも使えるし、何とかっていうガキに、もう暫く貸しといてやろうかと」
「おいおい……大丈夫か?」
「別に問題ねぇだろ。俺以外とも接触させた方が学習効率上がるしな」
「そうは言っても、サーチライトを使えば、お前さんのプライベートデータも参照できてしまうじゃろうに」
ジョージは心配顔だが、ハロルドは悪戯っぽく目を細める。
「あはは、そんなことになったら、面白いな」
「ハロルド……」
「冗談だって。ま、普通、閉鎖後世代のガキがそんなとこまでたどり着かねぇよ」
いい加減な調子でそう言って、ハロルドは残りのカレーをスプーンですくい、美味そうにそれを口に運んだ。
午後のSiNEルームは、今日は図書館ではなく、ただの灰色の箱だった。
床も壁も天井も光沢の無い、無個性な灰色で埋め尽くされており、壁には窓がひとつも無い。
照明設備もないけれど、壁や床が微かに光を放ち、辺りは暗くも明るくもない。これがこの部屋の本来の姿である。
ウィリアムは授業を半日さぼってここを訪れていた。
「サーチ」
・・・・
意を決したように少女を呼ぶと、何もなかった灰色の空間に青い光の粒子が生まれ、あっという間に膨大な光を集め、少女の姿を形取った。
夢のような水色の髪をたなびかせ、すとんと床に降り立ったサーチライトが、にこりと微笑む。
「こんにちは、ウィル。何をお探しですか?」
「教えてほしいんだ。1ビット・モードのこと」
「……1ビット・モードは既に実用化されています」
澄んだ声が静かにそう告げた。予想していた答えだ。けれど、だとしたら、どうして一切具体的な情報がネットに上がっていないのだ。
「それは、軍とか、政府とか、そういうところの秘密技術だってこと?」
「ノー。違います」
「Ω‐NETの内部に、直接アクセスできるって?」
「イエス」
「じゃあ……1ビット・モードがどんなものか、概要を教えて?」
「イエス。オフコース。説明します」
少年の緊張した気持ちとはうらはらに、サーチは、全く拍子抜けしそうな明るい声で答えた。
「1ビット・モードでは従来のSiNE系ファイルシステムを介さず、中央認証を受けた後、直接データホストにアクセスします」
この間見た、クイーンシステムの通信ログを思い出す。一般ユーザによるパケット干渉なんてものが起きているとすれば、それはまさに、彼女の説明通りのアクセス方法が存在していることの証明になる。
「ちなみに、もしかしたら君も、1ビット・モードを使ってアクセスしてる?」
「イエス。私は1ビットモードで得た情報をSiNEインターフェイスを通して出力する機能を持っています。それがあなたのサーチです」
さも当たり前のように少女は言ったが、それはまさに、夢のような機能だ。
その手法を自在に使うことができるなら、手が届かなくなって久しい世界中全てのデータホストが、眠りから覚めたも同然なのだから。
「……技術の仕様書なんかも、あったりする?」
恐る恐る尋ねてみる。そんな革新的な技術の詳細が、簡単に手に入るとは思いにくい。けれど……
「…………開示可能な情報があります」
「えっ!?」
返ってきたのは、あっけないイエスだった。
「ご覧になりますか?」
笑う少女に後光が差しているような気がする。一も二もない。見たいに決まっている!
「……もちろん!」
視界いっぱいに広がるデータファイル。
内容は難解なものだった。
もっとも、こんな技術仕様書が十六歳の学生にすらすら読みこなせるようなら、少年は間違いなく天才だ。
ウィリアムは割合それに近い部類ではあったが、残念ながら経験が足りていない。つまり、これを理解するには時が足りない。
サーチが出してくれた1ビット通信方式についての仕様説明ファイルを、随分時間をかけて睨んでいた少年だったが、やがて諦めて、灰色の床にごろんと転がる。
「……ウィル?」
不思議そうに覗き込むサーチに、難しいよと言いながら少年は笑った。
「じゃあ、サーチが教えてあげます」
少年の傍らにちょこんと座って、少女が仕様についての即席講義をはじめる。とはいえ、残念ながら彼女の説明は文字が声になっただけでやっぱり難しくて、今のウィリアムに理解は困難な内容だ。
けれど、可愛い声で謎の先端技術について説明するサーチの様子が面白いので、少年は黙ってその言葉に耳を傾けた。
高い、甘い、優しい声。
少しだけぎこちない言葉で、少年に語りかける可愛いプログラム。
彼女のこの容姿や性格には誰かモデルでも居るのだろうか。
最初はインターフェイスを若い制服の女の子にするなんて、作った奴は絶対ロリコンだと思ったけれど、今は何となく、彼女がこんな風に作られたことは自然で、良かったことのように思われる。
なぜなら、この虚実の狭間の空間で、彼女が機械でなくて人の姿をして同じ言葉を話すということが、何かとても、前向きな意志表示のように思えるからだ。
人工知能の話す言葉に人間性を感じることに戸惑う自分の迷いを、少女の笑顔はひょいと乗り越えて来る。
人の五感とは、脳の電気信号が見せる天然のSiNEだ。
けれど、それが僕らの世界の全てだとしたら、この部屋が見せる幻が嘘の現実だなんてことは決していえない。
サーチは確かに、ここに居るのだ。
「ウィル、聞いてませんね?」
柔らかく窘めるように、サーチが言う。
「聞いてるって」
ウィリアムは笑った。何だか、このファイルを見ていると、世界の秘密に触れてしまったようで、色々満足してしまったような気がしていた。
今は、1ビット方式というのが実在するということが分かっただけでも充分だ。
そう言おうとしたところで、サーチが不意に興味深いことを口にした。
「──ですから、1ビット方式通信を人が生身で行う場合、それは1ビット・ダイビングと呼ばれる技術になります」
出かかった言葉を飲み込む。
「人が……生身で?」
「イエス」
それはつまり、どういうことだ?
「1ビット・ダイビングとは、人間が感覚を直接Ω‐NETに接続して、1ビットモードで通信を行う場合のことをいいます」
「それってもしかして、この間のクイーンの通信ログは、それ?」
「イエス」
「……ちょっと、想像がつかないんだけど、感覚を繋ぐっていうことは、SiNEみたいなもの?」
「原理としては近いです」
「……SiNEみたいなんだったら、僕にもできる?」
「おそらく、ウィルには適正があると思います」
いつも大切なことをサラッと口にする少女だ。
詳しく教えて、と、勢いよく起き上がって尋ねる少年に、サーチは少し面食らったようだったが、広げた手をスッと伸ばして、新しい何かのファイルを取り出す。
「説明しましょう」
にっこり笑ってそう告げた。
彼女によると、人間による1ビット通信は、ここのようなSiNE施設や、通常使われているテーブルトップ・コンピュータなどではなく、専用の端末を用いるのだそうだ。
脳波を使って高度な操作を行うため、外界からの情報が入りやすい形式では不向きなのだという。
それを聞いて、ウィリアムは少し落胆した。専用端末が必要なのでは、自分には手が出せない。
「設計図がありますが、見ますか?」
「……そんなものまであるんだ」
機密の扱いがいい加減なのか、サーチの機能がすごいのか、とにかく今日の自分にはラッキーだ。
とはいえ、さすがに機械の設計図なんて見ても、それを実際に作れるわけではないので仕方ないかもしれない。
けれど、それを説明するとサーチは首を振って答えた。
「1ビットダイビング用の端末は、一般に販売されていたゴーグル型コンピュータを改造して作ります」
「え……っ?」
ゴーグル型コンピュータなら知っている。確か、『自室でSiNEルーム並みの臨場感』が得られるエンドユーザー向けの小型端末として、何十年か前にはかなり流行していたものだ。
当然今は製造されていないが、色々なモデルがあって、Ω‐NET系古物マニアの間では割と人気がある。
サーチが見せてくれた設計図は、設計図というよりも改造マニュアルのようなもので、思いの外単純というか、普段やっているコンピュータの改造とさほど違いの無いものだった。
部品の取り替えとソフトウェアの上書きによって、通常行われるSiNEサーバとの通信をバイパスして、Ω‐NETに蓄積されている生のデータをそのまま読めるようにする──おおよその理屈としてはそういうものらしい。
SiNEサービスではサーバ側が処理して組み立てていた仮想空間に近いものを、生身の感覚を直接つなぐことで再現する……というのが基本的な理念のようだ。
仕様書を読む限りではひたすら難解に思えたが、こうして実際使っている機械やソフトウェアに応用してあるとすんなり理解できる。
どれも現存する技術の応用だが、今まで誰も思いつかなかったものだ。
「こういうこと、可能なんだ……」
目から鱗というか、コペルニクス的転回だ。これを考えた人はすごい。
ゴーグル型端末は持っていないものの、売っていそうな場所なら心当たりがあった。
昨日サナエと行ったばかりの、ガイアポリスのエルズ。あそこにいけばきっと置いてあるにちがいない。
それに、ゴーグル端末は数多く出回っていた機械であり、また相当な古物であるので、手がでないほど高価な品物でも無かったはずだ。
「いかがですか? ウィル」
「うん。これなら……わかる。ありがとう」
「どういたしまして」
「これ……で、本当にΩ‐NETのデータサーバにアクセスできるん、だよね」
興奮に震えそうになる声を抑えつつ尋ねると、少女は自信たっぷりにイエスと答えた。
駆け出したいくらいの気持ちで、正門へ向かう。
まだ時間が早いので、 このままガイアポリスまで足を伸ばすつもりだった。
我ながら気が早いけれど、さっき見た改造ゴーグルをとにかく早く作ってみたい。
「ちょおっと!!」
「うわっ!?」
バスの時間を確認しようと立ち止まったところを、何者かに後ろからタックルされて、危うく転びそうになる。
「な、何するんだよっ!」
突然現れた乱暴者の正体はエリカだった。まぁ、案の定というか、予想通りというか。
ウィリアムは非難の声をあげたが、どうやら、エリカの方がもっと怒っているらしい。
「ウィルだけずるいっ!!」
「エリカ……そういや、朝会わなかったね」
彼女の怒りが何に対してのものだかさっぱりわからないので、とりあえず思い出したことを口にしてみる。
「昼から来たのよ」
「そっか」
言って先を急ごうとするが、ガシッと腕を捕まれてしまう。
「何……?」
「あんた、サナエ先輩の手作りランチを食べたんだって?」
「あー……その話か……」
そういえば、あの日に限ってエリカが休みだったのだ。
「残念だったね、おいしかったよ?」
特に嫌みのつもりはなかったが、エリカは元々つり目なのをさらに三角にして、ウィリアムを睨み付ける。
別にこのクラスメートにどう罵られようとかまわないので、さっさと切り上げて早くエルズへ行こう。けれど……
「ちょっと付き合って」
「は?」
「買い出し」
少女はそれだけ言って、しっかりウィリアムの腕を捕まえたまま歩き始める。
「ちょ、ちょっと、冗談じゃない。僕だってこれから行くところがあるんだから」
「先輩のサンドイッチを一人で食べた罰よ!」
エリカは聞く耳を持たない。そういえば、彼女には最初から聞く耳なんて無いのだった。
「ちょっと、エリカ、買い出しって何をさ」
「差し入れ!」
「誰に?」
「先輩に決まってるじゃない!」
「どうして僕がそれに付き合わなくちゃいけないのさ」
「それは……」
ウィリアムを説得できるだけの材料が無いのか、エリカは怒り顔のまま固まってしまった。
この熱狂的なサナエ信者は、サナエのお気に入りたるウィリアムを目の敵にする割には、何かと彼を頼るのだ。
だが、その理由について──ウィリアムは当然として──おそらくエリカ自身、あまりよく分かっていないようであった。
「お……お菓子、作ろうかなって、思って」
「喜ぶんじゃない? 先輩、甘いものよく食べてるし」
そして、ウィリアムがそんなエリカの相手をついしてしまう理由──それは、彼自身、何となく分かっている。
「で、でしょ! そうよね! そう思うわよねっ!」
同学年にまともな友達のいないウィリアムにとって、この強引でわがままなクラスメートは、それなりに好ましい相手なのだ。
「買い出しって……どこ行くの?」
「大通りのショッピングセンター」
「ふぅん……言っとくけど僕、料理とか全然できないよ?」
「分かってるわよ。私もできないもの」
「……全然だめじゃないか、それじゃ」
「あんたには、レシピ本の選定を任せるわ。わかりやすいやつ」
今思いついたような顔でエリカが言った。きつく腕を捕まれたまま、ウィリアムは苦笑いと共にため息をつく。
「言っておくけど、買い出しだけだよ?」
To be continued.
読んでくれてありがとう!
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Studio F# Twitter
 
 



ウィリアム・レリック

本編主人公。
ネオポリスアカデミー付属ハイスクール1年生。
優等生で生徒会の書記も務めるが、同学年にはあまり友人は居ない。
コンピュータ・マニアで、学校のSiNEルームに入り浸っている。




サーチライト

ウィリアムが学校のSiNEルームで出会った謎の少女。
自ら「Ω‐NET自動巡回システム対話インターフェースユニット、コードネーム『サーチライト』」と名乗る。
ネットから情報を集めるクローラープログラムの一種であるらしい。




エリカ・グレイン

ネオポリスアカデミー付属ハイスクール1年生。
ウィリアムのクラスメートであり、生徒会で会計を務める。
生徒会長に心酔しているらしい。




サナエ・A・ノースランド

ネオポリスアカデミー付属ハイスクール2年生。
生徒会長を務める。
知的な才女タイプだが、ウィリアムのことを、入学当時から妙に気に入っている。




リュシアン・エンジェル

ネオポリスアカデミー付属ハイスクール2年生。
生徒会副会長を務める。
人当たりのよいプレイボーイで女の子が大好きだが、サナエのことは恐れている。

ウィル サーチ エリカ サナエ リュシアン
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本作品は、毎週連載形式のオンライン小説です。
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